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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
「つまり、シンシアは恋愛対象にはならないってこと?」
セドリックは考え抜いた末に駒を動かすが、またすぐにセドリックの番となる。
「やけに突っ掛かってくるな。お前シンシアのことが好きなのか」
「違うってば。可愛い妹が哀しむ姿見たくないだけ」
「お前の妹じゃないだろ。……まあ、俺も似たようなものだ。だから変に掻き回したりするなよ」
言い置いてレオは筆にインクを浸す。
「え? ちょっ……、まだあたしの番が……!」
「あと2手でチェックメイトだ。観念しろ」
レオは抵抗するセドリックの顔に落書きを足した。
レオもシンシアを傷付けたくはないが、こればかりはどうしようもないのだ。
シンシアは妖精のように可愛い。だが妹としてみてきた彼女を今さら異性としては見られない。
おそらくはこの先も変わらないであろう。
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