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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
こんな会話をした数ヵ月後。
シンシアが突然倒れた。
初めは只の風邪だろうと医師の判断であったが、何日経っても一向に回復の兆しがない。
病名が判明しないままシンシアはみるみる弱り、痩せ細った。
父が親友の娘のため、国一番の医師をシンシアの治療に当たらせたが、それでも回復はしなかった。
レオとセドリックは足しげく見舞いに通った。
しかし日に日に弱る彼女に、無力さを突きつけられるだけ。
礼拝堂にも通い、神に祈りを捧げた。
まだ年端もいかず、なんの罪もないシンシアの命を奪ってくれるな、と。
礼拝堂ではシンシアの母親の姿も度々見掛け、心労で顔色はすこぶる良くはなかったが、レオたち以上に熱心に祈っていた。
それでもやはり回復はしない。
薬も効かなければ、病名すら解らぬまま。
レオも父と共に方々の医師を当たったが、どの医師も匙を投げてしまう状態であった。
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