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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去




 レオは瞠目し、立ち止まる。


「レオ?」


 急にレオが立ち止まり、何歩か先に進んでしまったセドリックが振り返り、怪訝そうにレオを見遣る。が、レオはセドリックの声は聴こえていない。


 レオは震える両手を見詰める。


 ──俺があの言葉を言ったからか? 俺が言わなければ二人は──!


 ぐらりと揺れるレオを咄嗟にジョシュアが支えた。


「レオ様? レオナルド様!? どうなさいました!?」


「レオ!? 聴こえてる!?」


 明らかに様子のおかしくなったレオをセドリックとジョシュアがしきりに呼び掛ける。


 その声はするすると滑っていってしまう。


 ──俺が……殺した?


 その考えに至ったレオの喉がヒュッと鳴る。


 息苦しさを覚えたのは呼吸困難に陥ったから。


 どんどん遠退く意識。呼び掛ける声も遠退いていく。


 レオはそのまま意識を失い、次に眼を醒ましたのは王城の自室であった。






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