この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
「あの子を助けるのは簡単です。引き取ろうと何度も考えました。だが私は生い先短い。私が死んだあと、あの子はどうなると思われます? またあの冷たい家に戻され、今よりも酷い仕打ちを受けるやもしれぬのに……目先のことだけで助けることなど、どうして出来ましょうか」
「ですが他に彼女の手助けをする人物などいくらでも公爵ならば探せるでしょう」
「それももちろん考えましたとも。しかし殿下。なによりもアリエッタ自身が私の助けを必要としておらんのです。あの子は優しく、心根の純粋な子です。己の犯した罪から逃れ、楽な道に進もうとは考えられない子なのですよ……」
「しかし……!」
レオは尚も食い下がろうとする。見ず知らずの娘のためになぜこうまで必死になるのか解らない。
だが居ても立ってもいられないのだ。
「殿下……。私にはあの子をこれ以上苦しめる真似が出来ないのです。私のせいで辛い思いをしているというのに……」
「公爵の……?」
.