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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
「この絵や今の私からは想像出来ないでしょうが……。この白髪も昔はあの子と同じ髪の色をしておりました。瞳の色も私の色を受け継いでおります」
レオはこれまで語られた話と、公爵が持ち出した髪や瞳の色の話からある仮説に到達する。
「まさか……」
間違っていて欲しかった。あまりに残酷な仮説。けれど無慈悲に公爵は肯定する。
「お察しの通りです。あの男はアリエッタを見ると私への怒りと憎しみを思い出してしまうのでしょう……」
公爵は片手に顔を埋める。
「アリエッタが虐げられる原因は私にあります。私が愚かだったばっかりに……あの子に背負わなくていいものまで背負わせてしまった。そして娘の笑顔もこの私が奪ってしまったのです」
結婚を赦してさえいれば……彼を認めてさえいれば、と公爵はくぐもった声で後悔の言葉を洩らした。
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