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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会
「あたしが造ってるのは、裸体像。それも男性のよ」
ニーナが悪戯っぽい笑みを浮かべて言うのに、アリエッタは眼を丸くした。
「男性の……裸体像?」
「そうよ。女性のなら自分の裸で造れるんだけどね。男性となると美術館の彫刻や本を参考にしなきゃならないでしょ? でもやっぱり実際この眼で見て造らなきゃ納得いかなくって」
ニーナは何でもないことのように言ってのけるが、アリエッタには男性の裸など見るなんて考えられない。
王都国立学校にある図書館には多くの芸術に関する書物も蔵書されていて、勉強のために開いた経験はあるものの、男性の裸が描かれているものは直視出来なかったくらいだ。
そもそもアリエッタは人物画をほとんど描かない。描いても抽象画や聖母画、空想上の天使などで、実在する人物をモデルにしたことがほぼなかった。
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