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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき



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 レオは狭く暗い空間にいた。空間の用途から考えれば充分な広さと言えようが、そこに詰められている物が広さを奪っている。


 格子が作り出す僅な隙間から射し込む光だけが頼りなその空間。


 ここは所謂クローゼット、と呼ばれるものだ。


 なぜこんな所にレオが隠れるように身を潜めているかと言うと──。




「旦那さま。アリエッタ様がお見えになられました」


 この一ヶ月半で聞き慣れたザキファス邸家令の声がした。


 寝台の背に凭れ、待ち構えていたザキファス公爵が返事をすると、家令に伴われた少女──アリエッタが入ってきた。


 レオは物音を立てないよう細心の注意を払いながら、格子に手をついて隙間から眼を凝らす。


 13歳になったばかりだというアリエッタは小柄で、細身の身体には地味な色のドレスを纏い、眼を隠す長い前髪が表情を覆っていた。


「よく来たな。さ、そこに掛けなさい」


「はい、おじいさま」


 アリエッタは子供らしくひらりとスカートを広げ、軽く膝を折ると寝台を挟んでレオの正面に座った。





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