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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
ザキファス公爵が持ち掛けた提案は、レオが姿を見せないのであればアリエッタを邸に呼ぶ際に逢わせてもいいということだった。
公爵はアリエッタの自由は絵以外ないと言ってはいたが、週一度の礼拝と、二ヶ月に一度彼を見舞うことが彼女のする唯一の外出だそうだ。
しかしそれも監視の眼があるので、自由とは呼べないらしい。
レオがここに隠れているのは、邸でも唯一信用のおける家令の協力で実現した。
「おじいさま、お加減はいかがですか」
「ああ、最近は気分が良くてな。新しい友人のお陰かな」
公爵が視線だけ軽くクローゼットを見遣る。
けれどレオはアリエッタに釘付けになっていた。
アリエッタはもっと辛気臭い空気を纏っているのを想像していたが、どこか澄んでいて、クローゼットの中までふわりと空気が軽くなった気がしたのだ。
──あの子が……アリエッタ。
公爵の絵を描いた少女の声や仕種にレオは眼が離せなかった。
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