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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
「新しいご友人ですか?」
「そうだよ。とても年の離れた友人だ。そうそう、彼はアリエッタの絵を気に入ってくだっていたよ」
「あんな未熟な絵を?」
「未熟でも、アリエッタの絵は人の心に訴えかけるものがあるよ。自信を持ちなさい」
「ありがとうございます……」
アリエッタは恐縮し軽く俯くが、嬉しそうに頬を染める。
「それよりもまた顔を隠してしまって……。ほら、おじいさまにお前の顔をよく見せておくれ」
「で、でも……」
「ここには私とマーチンしかいないんだ。構わないだろ。マーチン、あれを」
マーチンとは家令の名だ。彼は「はい」と返事をし、チェストから髪飾りを取り出して公爵に手渡す。
「私がつけてあげよう。アリエッタ、こちらへ」
「……はい、おじいさま」
アリエッタは公爵に顔を寄せる。
公爵の手がアリエッタの前髪を梳き、髪飾りで前髪をとめた。
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