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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
──更に一ヶ月半後。
レオは15歳となり、無事成人の儀を終え、国政に携わるようになる。
レオがまず推し進めた政策は医療の発展であった。
嘆き哀しんでばかりでは誰も助けられない。
カーラやシンシアのように不幸な人を増やさぬよう、レオはやるべきことに邁進した。
医師の育成に力を入れ、他国からの医師を招き、ラインハルトにはない技術を広め、遠く東洋からも薬草を仕入れ。
王城から出て独り立ちをしたのちには邸でその薬草を試験的に育て、手狭になってからは王都国立学校に温室を造りそこでも育て、新薬の開発も進めた。
レオ自身も医師に引けを取らぬほどに医術に関する本を読み漁った。
ラインハルトが医療に発展した国と名を轟かすことになるまで平坦な道のりではなかったが、努力も苦労も厭わなかった。
死に行く者を前にただ指を咥えて見ているだけの悔しさに比べたら、苦労など痛くもなかった。
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