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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
ただこの政策の一番の壁は金銭面だった。とにかく金がかかるのだ。医師を招くのも、薬草を仕入れ育てるのも。
シンシアの父親を始めとする有力な貴族の協力を得られたものの、まだ足りない。
だがここで助けとなったのは、他でもないカーラの言葉だった。
レオは政策を進める傍らで、なにか問題が起これば足を運び解決に奔走した。その姿が民の心の動かし、どんな相手に対しても横暴な態度に出ないレオは民の心を掴んだ。
見識の広い医師が無償で若い医師の教えを買って出て、薬草を仕入れるのも商人が行く先々で珍しい物を見付けてはこれも無償で王城に届けた。
民の心を掴んだとなれば、その領地を治める貴族もレオに反発するわけにもいかず、一人、二人と協力者が増えた。
国が一丸となる様は奇跡を見ているようだった。
『愛されたければまず愛すること』。その言葉を示すよう、レオの努力は人々に伝わり、何倍にもなって返ってきたのだ。
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