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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
レオは医療の発展に力を入れる間もアリエッタのことは忘れていなかった。
ザキファス公爵が死去したのちは、アリエッタの周辺を常に探らせていた。
突然彼女が嫁ぐと決まったときは肝を冷やしたが、嫁ぐはずであった伯爵が老衰のため死去したことで破談となり。伯爵には申し訳ないが、レオは心底安堵した。
なぜ安堵したのかは解らなかった。おそらくは彼女への同情からだろうと、この時は思っていた。
アリエッタが学校へ通える年、レオも入学した。ザキファス公爵──この時点で正確には前公爵であるが──彼の絵を描いた彼女と直接話せる機会があるならば学校しかないと考えたからだ。
多忙を極めるレオの入学に周囲は反対したが、跳ね退けてまで入学したにも拘わらず、アリエッタはその年入学しなかった。
彼女の父が前公爵の遺言を無視し、国からの通達も届いてないと一点張りしたのだ。
その翌年はアリエッタの病気を理由にまた無視した。
病気というのは当然嘘だ。探らせていた者によれば、彼女は変わらず週一度の礼拝に来ていたから。
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