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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
更にその翌年には流石に業を煮やし、国の通達機関に手を回して脅迫紛いでせっついた。
ザキファス公爵はそれにようやく重たい腰を上げた。アリエッタを入学させたのだ。
あとはアリエッタと逢う機会をどうするかだけ。
出来れば立場を明かさず、一人の人間として彼女と出逢いたかった。
アリエッタという人物を知るには、その方が都合が良かったから。
王太子であると知られらば、本心を隠して媚びへつらい、擦り寄ってくる人間もいるというのは嫌というほど知っている。
あの優しい、心に響く絵を描く彼女がそういった人種であるとは思いたくはなかったが、人は複雑で、こと男と女となればいっそう複雑になる。
そこでレオは彼女の学校での行動からいずれ温室に辿り着くと予想し、待ち続けた。
そして運命のあの日。
ついに彼女との出逢いを果たした。
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