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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき


 アリエッタを待つ間、当然仕事は出来ない。帰ってから睡眠時間を削り、執務をこなしていた。


 なかなか現れない日々が募り、疲れが溜まっていた。だからうっかり眠りこけてしまっていた。


 ふと眼を醒ましたとき、レオは驚いた。待ち続けたアリエッタが目の前にいて、スケッチブックにレオを描いている。


 レオの周りにいるような、甘やかな雰囲気を出して近寄ってくる女たちとは違い、鬼気迫る雰囲気さえ滲ませて。


 レオが眼を開けていると気付いた彼女が固まる。ピリピリとした空気を一掃させて。


 慌てる彼女が可愛いくて。たどたどしく紡ぐ言葉が真っ直ぐで。


 多分衝動的だった。あんな形で唇を奪うつもりなど毛頭なく、触れたいと思うより先に触れていた。


 アリエッタの動揺よりもレオのそれが勝っていたと言い切れる。


 けれどどうにか見せず、立ち去ってから激しく後悔した。







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