この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
アリエッタはレオに抱かれながら、なにを考えていた?
──笑っていた。けどその陰で……泣いていた?
一度たりとも拒まなかった。
──仕事だから、義務だからと?
眠っているとき、いつの間にか腕から抜け出していた。寝相ではなかったとしたら……。
──いつか来る別れを覚悟し、温もりに慣れてしまうのに怯えていた?
彼女は酔うと慇懃な言葉遣いになった。
──酔えば本性が出るものだ。俺との間に一線を引いていた?
リンゼイを招いた夜、アリエッタは中座した。
──俺たちを見ているのが辛かった?
カンターヌへ向かう前の最後の夜。あの日彼女は自分から求めてきた。
──最後だとわかっていたからか?
見送るときも笑顔で。だけど迎えに行くと言ったとき頷かなかった。
──もう自分は居ないと知っていたから?
.