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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「……じゃあこのまま放っておけと言うのか」
「そんなことは申しておりません。……レオナルド様。お顔を上げ、周りをご覧なさってください」
ジョシュアの肩口に拳をつき、こうべを垂れていたレオは悲痛に歪む顔を上げて彼に従う。
使用人たちが皆、神妙な面持ちでレオを見守っていた。そしてひとりの使用人が進み出る。
「……私が足を痛めていたとき、アリエッタ様がいち早くお気づきになられて、手当てをしてくださったことがありました」
次は衛兵が進み出る。
「夜は冷え込むだろうからって、ほら。見てください。これアリエッタ様が編んでくださったんです」
上着を捲り上げ、腹巻きを見せる。次はコックが進み出た。
「アリエッタ様はお菓子を作るとき、みんなの分まで必ずお作りになられるんです」
キッシュも進み出る。
「僕が昔の話をしてもアリエッタ様は軽蔑せず、変わらずお優しかったんです」
ナキラも出る。
「私、アリエッタ様にお仕えして、一度も嫌な思いをしたことありません。アリエッタ様はいつだって私たちをひとりの人間として接してくださってます」
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