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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「──こんなことになってしまったのは、すべて私の責任です。本当に申し訳ありません」
「頭を上げてください。殿下のせいではございません。寧ろ感謝したいくらいです」
ソファーに座り、向かい側の夫人に下げていた頭を上げると、夫人はうっすらと涙を浮かべている。
「アリエッタは人を愛せない子になっていてもおかしくはありませんでした。でも……殿下がいらっしゃったから……。殿下に愛することを教わったのです」
ついに堪えきれなくなった涙が頬を伝う。夫人は拭うでもなく、泣き濡れた顔で悲痛を滲ませる。
「私がもっと頼りになる母親なら……あの子も出て行こうなどとは思わなかったでしょうのに……」
「アリエッタは夫人からの手紙をいつも何度も読み返してました。心の拠り所にしていたのでしょう」
「アリエッタが……。ですが殿下。私は母親と名乗る資格すらないのですよ」
「夫人……。どうかあまりご自分をお責めにならないでください」
宥めてみても夫人はかぶりを振った。
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