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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
見習いとしてアリエッタに割り当てられたのは子供たちの世話。
それまで殆ど幼い子供と接した経験のなかったアリエッタは戸惑いの連続であった。
騒がしい子、物静かな子。言うことを聞かない子や聞き分けのいい子。食事中もじっとせずに床を這って悪さをしている子もいた。
先輩シスターはそんな子にも無理に躾や強制はしない。その理由はすぐに解ってきた。
年長の子はみな行儀よく、彼らはここで暮らす修道女からマナーやその場に応じた振る舞いを学び、それを幼子たちも見て育ち。
彼らもそんな年長者に倣って窘められずとも学んでいくのだ。
アリエッタもまた彼らに多くを学んだ。親がおらずとも悲願せず、逞しく育つ彼らの背を見て。
尽き果てた心の潤いに彼らが少しずつ水を与えてくれるようでもあった。
半年余りで笑顔も取り戻せるようになっていた。
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