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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに



 痛いくらいの沈黙を破ったのはアリエッタだった。


 アリエッタは涙をぐっと堪え通路に出て、恭しく頭を下げた。


「……お久しぶりです。殿下」


 疑問を呑み込み、それだけ告げる。


 もう気軽にレオとは呼べない。元々、気軽に接していい人ではないのだ。


 頭を上げるとレオは僅かに厳しい顔付きになっている。


 彼は一度アリエッタから視線を逸らすと、また捉えた。


「……“シスター”。俺の懺悔を聞いてもらえますか」


 第一声になにを言われるかと思えば、懺悔とは……。


 アリエッタは当惑するも、首を振る。


「懺悔でしたら神父様に……。私は見習いですので」


「いいや、キミでないとダメだ」


 きっぱりと言われ、困惑が増す。


 レオの強引さは半年前となんら変わりない。アリエッタが折れるのも、おそらく時間の問題だ。


 突然レオが現れ、惑乱し、逃げ口上も見付からない。


 手を伸ばせば触れられる距離にいるのが未だ信じ難く、ドキドキと煩い心臓のせいで思考も纏まらない。


 レオは沈黙を了承と取ったのか、彼の言う懺悔とやらを静かに語り出した。






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