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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに



 へなへなと倒れそうになったアリエッタをレオが咄嗟に受け止める。


「大丈夫か」


「ごめんなさい……。私ずっと勘違いして……」


 堪えきれなくなった涙がポロポロと眦から流れる。それをレオが親指の腹で拭う。


「泣くな。そうさせたのは俺だ。……アリエッタ。俺を赦してくれるか」


 赦すもなにも、レオを怒ってもいないし恨んでもない。けれどレオの双眸が頼りなげに揺れるから、アリエッタはこくこくと頷いた。


「……良かった。じゃあほら、ひとりで立てるか」


 心底安心した声を出すと、レオはアリエッタの肩から手を離す。


「俺が跪く前にキミが倒れてどうするんだ」


 苦笑いを浮かべて言われ、アリエッタはきょとんとする。


「跪くって……どうして?」


「どうしてって。そりゃあプロポーズのマナーだからだろ」


 当然だとばかりにレオは言うと、そのまま片膝をついてアリエッタの手を取った。





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