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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
眼を見張るアリエッタにレオは甘やかな笑みを浮かべる。
「アリエッタ。俺と結婚してくれ」
アリエッタの双眸は溢れ落ちんばかりに見開かれる。
レオが。自分に。プロポーズ……。
有り得ない光景に思惟を鈍らせるも、じわじわと頭と心が理解してくると、アリエッタの顔が熟れたリンゴのように赤くなる。
レオが自分を愛していて、プロポーズまでされた。
遅れてきた幸せに満たされ、自然と上気してしまっているのだ。
アリエッタが固まってしまっていると、レオは困ったように笑う。
「返事はくれないのか」
「──ッ」
返事をしたくても胸がいっぱいで、涙もどんどん溢れてきてしゃくり上げてしまうだけ。
レオとまた一緒にいていいのかとか、すべてを捨ててきたアリエッタにレオの傍にいる資格があるのかとか。
そんなことを考えるのは後回しだと、満たす幸せが追いやり。
答えられない代わりに、アリエッタはレオの胸に飛び込んだ。
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