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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ
くりくりと巻いたココアブラウンの髪を跳ねさせ、新緑色の双眸を潤ませるニーナがアリエッタを見るや否や抱きついてきた。
その背後にはナキラも涙を堪えて立っていた。
「ニーナ……ナキラ……」
アリエッタの瞳からも涙が滲む。
「もう、バカ! どれだけあたしが心配したと思ってるの!」
「ごめんね……ごめんなさい……」
微かに震えるニーナをアリエッタは抱き締め返す。
「ご無事でよかったです」
「ナキラもごめんね。たくさん心配かけてしまって……」
「ほんとよ! 親友のあたしに手紙一枚残して何も言わずにいなくなるなんて……! 水くさいわ!」
ニーナは泣き濡れる顔でアリエッタを睨み付ける。返す言葉もなかった。
あの時はそうするしか頭になかったとはいえ、残された者の気持ちを考える余裕がなかったのが悔やまれる。
「ごめんなさい……」
謝罪を繰り返すアリエッタ。ニーナは鼻を啜り上げ。
「いいえ、赦さないわ!」
きっぱりと言い切る。
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