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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ
つまり……。アリエッタとレオは本当に今日この日に結婚するらしい。そして一週間、ずるずると帰りを延ばしたのは邸の使用人たちの帰りを待つためで。
そこまでは理解した。だがあまりにも衝撃的でアリエッタは放心している。
レオに求婚はされた。アリエッタも了承はした。
しかし現実に結婚するのはもっと先のことだとばかり……。
鏡を前に放心するアリエッタの頭に、ふわりと透けるように薄い絹のベールが被せられた。
「アリエッタ。幸せになって……いいえ、ならなきゃ駄目。じゃなきゃそれこそ赦さないから」
「ニーナ……」
ニーナの意志が強そうな瞳に浮かぶ涙を見て、じわじわとアリエッタの心と身体が幸福の熱で満たされていく。
「ありがとう……。ニーナ、本当にありがとう」
アリエッタの瞳にも涙が滲みそうになると、慌ててナキラが止めに入る。
「せっかくのお化粧が崩れてしまいます! 泣くのはあとからにしてください!」
そう言うナキラがこの場の誰よりもボロボロと泣いていた。
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