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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ



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 祝宴が終わり、王城のレオの私室に通される。


 と、そこにはアリエッタの描いたレオの肖像画が飾られていた。


「これ……」


「ああ。ギルデロイの個展が無事に終わって戻ってきたんだ」


「そうだったの……。教授はお変わりないかしら」


「届けてくれたときに逢ったが、元気そうだったぞ。それにアリエッタを気にかけていた」


「そう……。教授にもご挨拶にいかなくちゃね」


「そうだな。……そういえばキッシュが気になることを言っていたんだが」


「気になること?」


「ああ。アリエッタが色を見えていないんじゃないかって。大丈夫なのか?」


 キッシュがそんなことを……。恐らくはリンゼイと庭の花を見ていたときに気付かれたのだろう。だがもう過ぎたことだ。


「……見えてるわ。全部……レオの素晴らしい色彩も」


「嘘じゃないな?」


「嘘なんてつかないわ。私ね。世界がこんなに美しいってレオに出逢ってから知ったのよ。輝いていて、色に溢れていて……」


「俺もアリエッタの世界が見てみたい。だからもっと沢山絵を描いてくれ」


 2人でレオの肖像画を見上げる。一枚の絵が二人の運命を引き寄せ、一枚の絵が絆を結んだ。


 どちらもアリエッタの苦手としてきた肖像画なのに、運命とは真に不思議なものだ。






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