この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第22章 エピローグ
****
祝宴が終わり、王城のレオの私室に通される。
と、そこにはアリエッタの描いたレオの肖像画が飾られていた。
「これ……」
「ああ。ギルデロイの個展が無事に終わって戻ってきたんだ」
「そうだったの……。教授はお変わりないかしら」
「届けてくれたときに逢ったが、元気そうだったぞ。それにアリエッタを気にかけていた」
「そう……。教授にもご挨拶にいかなくちゃね」
「そうだな。……そういえばキッシュが気になることを言っていたんだが」
「気になること?」
「ああ。アリエッタが色を見えていないんじゃないかって。大丈夫なのか?」
キッシュがそんなことを……。恐らくはリンゼイと庭の花を見ていたときに気付かれたのだろう。だがもう過ぎたことだ。
「……見えてるわ。全部……レオの素晴らしい色彩も」
「嘘じゃないな?」
「嘘なんてつかないわ。私ね。世界がこんなに美しいってレオに出逢ってから知ったのよ。輝いていて、色に溢れていて……」
「俺もアリエッタの世界が見てみたい。だからもっと沢山絵を描いてくれ」
2人でレオの肖像画を見上げる。一枚の絵が二人の運命を引き寄せ、一枚の絵が絆を結んだ。
どちらもアリエッタの苦手としてきた肖像画なのに、運命とは真に不思議なものだ。
.