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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ



 するすると紐解くレオの肩口を真っ赤な顔でポカポカと軽く叩く。


「もう! バカ……っ」


 精一杯の抗議と罵倒をしてみても、レオはやはり悪びれず、それどころか笑っている。


「はは!」


「お、怒ってるのよ?」


 そんな大事なことを言ってくれなかったのだから、腹は立ってなくとも怒る素振りくらいしてもいいだろう。


「いや、だんだん遠慮がなくなってきたなと思ってな」


 アリエッタの手首を取り、レオはその指に唇を押し当てる。薄く濡れた唇が当たった場所が熱を持つ。


「俺たちはもう夫婦になったんだ。だからこれからはもっと遠慮なくなんでも言えばいい。喧嘩をしてもその度に仲直りして……そうやって家族になっていくものだろ」


 言いたいことを我慢し、ただ耐え、呑み込むことで丸く収まるものだと考えてたアリエッタにレオは諭すように話す。


 静かに頷くアリエッタはその言葉を胸に刻み込む。






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