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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ



 そうこう悩んでいるうちに更に一週間過ぎ、気が付けば翌日から長期休暇に入るという日になっていた。


 受講する講義によっては何日か前から休暇に入っている学生もいる。


 王都国立学校は静けさに包まれ出していた。


「ねえ、本当にうちに来る気ないの? 休暇中ずっと寄宿舎にいるなんて本気?」


 今日でニーナも休暇に入る。アリエッタは目一杯受講出来るだけ取っていたので、ギリギリまで講義があり、今日で暫くニーナともお別れだ。


 以前からこの休暇を寄宿舎で過ごすのを決めていたアリエッタをニーナは度々心配し、誘ってくれていた。


「そのつもりよ。ニーナは明日から保養地のある湖畔の別荘で過ごすんでしょ? 家族水入らずにお邪魔出来ないわ」


「そんなこと気にしなくていいのに。お父様だってアリエッタのこと気に入ってるわ。若い女性がいるだけで華やぐとも言ってたし」


「お気持ちだけで十分。ルードリアン男爵と男爵夫人によろしく伝えておいて」


 にこりと微笑んでみても、ニーナは不貞腐れたように口を尖らせていた。






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