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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ



 アリエッタとニーナ、それからレオの友人であるセドリックはテラスのテーブルを囲んでいた。


 構内に通じるガラス扉の向こうでは、令嬢たちが三人を恨めしそうに眺めている。


 セドリックが彼女たちに手をひらひらとはためかせると黄色い声が沸き上がるが、ニーナが噛みつきそうな勢いで睨み付けるとブーイングのあと蜘蛛の子を散らすよう去っていった。


「あんたがいるとこうなるから嫌なのよ!」


「淑女を惑わせる美貌も罪よね」


「だー! ほんっと、そういうところムカつく! 誰かれ構わず笑顔振り撒いて! それで私がどれだけ……」


「あら、ニーナってばヤキモチ?」


「誰があんたなんかにっ!! 迷惑だって言ってるの! あんたのせいでマデリーヌに言いがかりつけらて何かにつけて睨まれるこっちの身にもなりなさいよ!」


「怒った顔も可愛いわねぇ」


「ば……ばっかじゃないの!?」


 顔を真っ赤にし、怒りを撒き散らすニーナと、その憤慨をものともしないセドリックのやり取りをぽかんと眺めた。



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