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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ



「あ、ごめん。今はアリエッタとセドの話だったわね」


 呆気に取られているアリエッタに気付いたニーナが怒りを収めて腕を組む。


「え、あ……うん。あの……二人も知り合い……だったの?」


「知り合いじゃない。ただの顔見知りという他人」


「ちょっと! 酷いじゃない、そんな言い方。ニーナのモデル候補くらいには言って欲しいわ」


 モデルという響きにアリエッタの胸がどくりと鼓動を打つ。


 セドリックが現れたときからも不整脈のごとく、心臓はバクバクしていた。


 あのこと、セドリックは聞いたんだろうか? だから逃げようとしたんだろうか? それとも謝罪と贈り物に対して一言もない恩知らずの不届き者と関わるなと言ったんだろうか。


 アリエッタから避けているというのに、レオからのコンタクトがなく自分のことなど綺麗さっぱり忘れられているかと思うと心臓を鷲掴みにされた感覚に陥る。


 そして身勝手さにまた罪悪が襲う。





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