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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ


 ニーナはまだ言いたげだった質問を押し込めるよう一度唇を結び、ひとつ嘆息してから切り出した。


「アリエッタとセド、どこで知り合ったの? 私、ずっと避けてたから二人が知り合う機会ないと思ってたのに」


 ニーナの不可解な行動はセドリックを避けるためのものだったらしい。何ヵ月も過ごした学舎で一度もセドリックを見かけなかったのに合点がいく。


「それは……ねえ?」


 同意を求められるよう曖昧に笑われ、話すべきかどうか余計に迷う。 レオと約束した秘密にというのも、話す妨げとなった。


 どのみちレオの肖像画に着手すれば遅かれ早かれ話すことになるだろうが。


「なに? 私にも話せない?」


「あたしから話すわ。そしたらアリエッタも約束破ったことにならないでしょ?」


「セドリック様……」


 いいのよ、とセドリックはアリエッタの肩を軽く二度叩く。


 セドリックが語ったのは至極簡単なものだった。レオと偶然出逢い、温室で逢ってるのをレオが口止めしているというもので。


 そのレオとの繋がりでアリエッタとセドリックも知り合った、というものだった。





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