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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ
この学校の令嬢が毎日きらびやかに着飾っているのは、レオナルド・アッシュブランが通っているせいだ。
通常、王家の者は城に教師を呼び、学校になど通わない。
けれどレオナルドは慣例をものともせず、学校に通い。その傍ら公務や執務もこなしているらしく、彼の手腕は国の内外に轟いているほど。
あのレオがレオナルド王太子殿下だったなんて……。
アリエッタは頭の中がぐちゃぐちゃで、混乱を極めていた。
「そうなのね? アリエッタってば……殿下になにかされてないわよね?」
なにか? なにかって……?
「ちょっと、アリエッタに変なこと吹き込まないの!」
「変なことじゃないわよ! いっつも学校のサロンや夜会でたっくさんの女性を侍らせてるって有名じゃない」
誰が? なにで有名って?
「あれは女性が放っておかないから。解るでしょ? 王太子ってだけでも寄ってくるのに、あの容姿じゃねぇ」
「女性に馴れてるって点では要注意人物って言えるでしょ? セドみたいに男色家でもないのにそんな言葉遣いしてるのも怪しいけど」
女性に馴れてる? 誰のことを話してるの?
「あら、あたしのことよーく解ってるのね」
「私の心眼舐めないで」
二人の会話が風のように流れていくのに、思考に絡まってしまう。
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