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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ
レオが王太子と聞き、腑に落ちる点も多々あった。
纏う空気は他を寄せ付けないほどの気品があり、身につけている服は上等な素材をふんだんに使ったもの。
佇まいや身のこなしだって品位があった。
「アリエッタ? アリエッタ、聞いて。レオが黙ってたのは、立場とか関係なく気兼ねなくお喋りしたい相手が欲しかったからだと思うの。解るでしょ? 王太子って地位だけでみんながみんな特別扱いして疲れちゃうのよ、あいつも。だから今まで通り仲良くしてあげて」
黙りこくるアリエッタを見かねてセドリックが優しく語りかけた。
仲良くしてあげてと言われても困る。最初から仲がよかったわけじゃない。
華々しい世界で生きる彼と、翳る世界に生きてきたアリエッタとではこれからも仲良くなれる気がしない。
レオの方にもアリエッタを友人と見なしているかどうかも……。そもそもああいったことをする間柄に友情が成り立つのであろうか。
レオという人がまた解らなくなり、遠く感じられた。
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