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隠匿の令嬢
第4章 巣を追われた灰ネズミ
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長期休暇を迎える日になり、アリエッタも全ての講義を終えた。
ニーナがいないと学校では誰とも話さないでいることに今更ながら気が付く。
両親とどこそこへ行くのとか、盛大なパーティーを開くのとか。少なくなった学生の浮かれる声はアリエッタを通り過ぎていく。
昨日も結局温室へ赴かないまま。セドリックは今も尚、会っていると思っていた節があったことから、あのことは知られてないらしい。
ニーナはしきりに気をつけなさいと繰り返していて。アリエッタがまともな恋愛や男馴れしてないからだ。
すでにいかがわしい行為をしてしまったのに、なにを気をつければいいのか。
そしてレオの女性関係を聞かされ、どうして苦しいのか……。
色んなことが絡み合い、ラインハルトを去った雨季がアリエッタの心の中に舞い戻り、暗雲で雷と大雨をいっぺんに降らせているようだ。
そんなアリエッタに更なる災いが待ち受けていようとは、誰が想像したであろうか。
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