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第11章 【追憶の向日葵】
*****

【7月、私は4つの約束を交わした。】

1つ。早織ちゃんに葵を返すこと。
2つ。遠征先から帰ってくるまでに爽介への返事を用意しておくこと。
3つ。19歳の葵の絵を完成させること。
4つ。20歳になった葵といっしょに過ごすこと。

―その内の1つは果たされない。
私は約束を破る。また嘘をつく。

―私が突き放さなければ、きっと葵は半永久的に私のそばから離れられない。
あの子は優し過ぎる。
自分の身を犠牲にしてでも、あの子は私をぬかるみから救い出そうとするだろう。
そしてその度に、私はあの子を穢してしまうだろう。
あの子から“見えない何か”をかすめ取ってしまうだろう。
これ以上、あの子の何もかもを台無しにしたくない。

『葵――――』

葵の写真がどうしても欲しかった。
これからはもう、葵に会うことも出来なくなる。
葵の姿を手元に留めておけば、眠れない夜でも大丈夫。
“決して間違いなどではない、最善の判断だった”と自分に言い聞かせる事が出来るだろう。

私は葵の《これから》の誕生日を祝ってやることが出来ない。
“生まれてくれてありがとう、あなたが生きてくれていてこんなにも嬉しい”と伝えてやることが出来ない。

“モノには限度がある”葵はそう言ったけれど、葵の幸いを願う私の気持ちに際限はない。

幸せはより多い方が良い。
出来れば不幸などない方が良い。
葵が毎日美味しいごはんを食べれますように。
清潔な寝具で眠ることが出来ますように。
病気や怪我で苦しむことがありませんように。
冷たい雨に凍えませんように。
葵の《これから》により多くの光が多く降り注ぎますように…。

―あの笑顔が壊れることがありませんように。

私は葵に何も出来ないのだから、切に願う他ない。
狂ったように向日葵をむしった。

*****

下絵に油絵の具を乗せながら、向日葵を見やる。

向日葵に埋もれながら葵は蕩けるような微笑みを浮かべて囁いた。

「―今この瞬間、あなたを独り占め出来るなら‥オレはこの先何があっても生きていける」

―だけど出来ることなら…



―この刻が永遠に止まってしまえばいいのにね、と。





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