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Re:again
第15章 【薔薇色の日々】
「決まってるじゃない―みちるちゃんは、世界でたったひとりのオレの《愛しい女》だよ。あなたは、おれのすべて」
『最初で最後の女にしてね!』
「‥了解。みちるちゃんも、オレで満足して下さい…」
葵が忍び笑いを洩らす。
『あッ!ツチノコだ!!』
目の前を茶色い物体が横切った。
“きゅ~”と、鳴き声を上げながら草根をかき分けて茂みに入って行く。
『大変!大変!NASAに電話しなきゃ!
葵、何か入れ物は?!』
葵は笑うだけで取り合わない。
『逃げちゃうよ!!』
「ツチノコはもういい…大切なモノはすべてココにある。
欲張らなくてイイ。
また今度、探すことにする…」
『また逢えるかなぁ…』
「‥さぁ?逢いたいと願えば逢えるんじゃない。
別れと出逢いは巡るものでしょ……
オレたちは“日常”に帰ろう」
秋風が、頬で切り揃えた髪の毛をさらう。
澄みきった水色の空―
見渡す限り、遮るもののない開けた小道。
小石は転がっているし、足場が良いとは言えない。
私を背負った葵の首筋から汗の雫が滴り落ちる。
『葵、重くない?』
「‥重くないよ。みちるちゃんが生きてるなって実感出来る。
嬉しいよ…」
葵の肩に頬を埋めた。
何かが、大きく変わったわけではない。
問題は山積みだし、《これから》も、壁にぶち当たることだろう。
1つ1つ解決しなくてはいけないことばかりだ。
―だけど、今この瞬間は何も怖くない。
葵といっしょならば、何も怖くない。
もう逃げることは止めよう。
やり過ごすのではなく、寄りかかるだけでなく、“大切なモノ”は精一杯護ろう。
舵は自分の手でとる。
流されはしない。
心の底から
怒って、泣いて、笑って―
葵とふたりで《今》を生きる。
足元では小さな野の花が二輪、寄り添うように風に揺れていた。
「‥さぁ、安息の地を目指そう…」
葵が夢みるように優しい声で囁く。
応えるように、小さく笑った。
日差しがが祝福のように私たちに降り注ぐ―
葵の頬が薔薇色に染まっている。
光の雨の中、世界の何もかもが輝かしく瞳に映し出された。
fin.
*****
『最初で最後の女にしてね!』
「‥了解。みちるちゃんも、オレで満足して下さい…」
葵が忍び笑いを洩らす。
『あッ!ツチノコだ!!』
目の前を茶色い物体が横切った。
“きゅ~”と、鳴き声を上げながら草根をかき分けて茂みに入って行く。
『大変!大変!NASAに電話しなきゃ!
葵、何か入れ物は?!』
葵は笑うだけで取り合わない。
『逃げちゃうよ!!』
「ツチノコはもういい…大切なモノはすべてココにある。
欲張らなくてイイ。
また今度、探すことにする…」
『また逢えるかなぁ…』
「‥さぁ?逢いたいと願えば逢えるんじゃない。
別れと出逢いは巡るものでしょ……
オレたちは“日常”に帰ろう」
秋風が、頬で切り揃えた髪の毛をさらう。
澄みきった水色の空―
見渡す限り、遮るもののない開けた小道。
小石は転がっているし、足場が良いとは言えない。
私を背負った葵の首筋から汗の雫が滴り落ちる。
『葵、重くない?』
「‥重くないよ。みちるちゃんが生きてるなって実感出来る。
嬉しいよ…」
葵の肩に頬を埋めた。
何かが、大きく変わったわけではない。
問題は山積みだし、《これから》も、壁にぶち当たることだろう。
1つ1つ解決しなくてはいけないことばかりだ。
―だけど、今この瞬間は何も怖くない。
葵といっしょならば、何も怖くない。
もう逃げることは止めよう。
やり過ごすのではなく、寄りかかるだけでなく、“大切なモノ”は精一杯護ろう。
舵は自分の手でとる。
流されはしない。
心の底から
怒って、泣いて、笑って―
葵とふたりで《今》を生きる。
足元では小さな野の花が二輪、寄り添うように風に揺れていた。
「‥さぁ、安息の地を目指そう…」
葵が夢みるように優しい声で囁く。
応えるように、小さく笑った。
日差しがが祝福のように私たちに降り注ぐ―
葵の頬が薔薇色に染まっている。
光の雨の中、世界の何もかもが輝かしく瞳に映し出された。
fin.
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