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Re:again
第12章 【乱・反・射】
*****
真夏の照りつける日差しが乱反射する。
いくつになっても夏は好きになれない。
強い色彩―何もかもが生命力に満ち、気持ちだけが取り残されてしまう。
葵とは顔を会わせていない。
その間、葵の絵を何度も描き直した。
向日葵はすっかり枯れ、部屋の片隅の花瓶に突っ込んだまま。
葵の誕生日を待たずに、私は爽介に返事を出した。
遠征から帰ってきたばかりの爽介は酷く不機嫌で、私を部屋に上げなかった。
濃い茶色の大きなサングラスを掛け、腕を組んでムスッと黙りこくっている。
エンジンを切った車内での沈黙は辛いものがあった。
爽介は私の顔をちらりとも見ないし、何から切り出せばいいのか戸惑い言葉を失う。
「‥言いてぇコトがあんならはっきり言えよ。時間の無駄だ」
爽介はやけに苛々して吸い殻の本数ばかりを増やす。
逞しい腕を掴み、爽介の頬に唇を寄せた。
「――はぁ?」
私の方を見た途端、爽介の態度がガラリと変わった。
「そっちか…」
私の首元のネックレスの存在に、やっと爽介が気が付いたのだった。
*****
「なんだよ‥ビビらせんなよ‥それならそうと早く言えよ…急に会いたいだなんて言うから俺は…」
息をつく間もない長いキスの後、モゴモゴと言葉を濁す爽介。
『帰ってくるまでに気持ちを固めとけ、明確な答えが欲しいって言ったのは爽介だよ』
私の言葉に爽介が耳を赤くする。
爽介の中で何か大きな衝撃が発生したらしい。
自分が贈った“首輪”と呼んでいるネックレスを私が身につけたことを知った瞬間、爽介はサングラスを握り潰した。
血が出ているので私はギョッとしたけれど、
「そんなのどうでもイイ。すべて後にしろ」
と、百戦錬磨の必殺技をいかんなく浴びたのだった。
今までと違ったのは、爽介の鼓動がいつになく速かったこと。
余裕のない、技術よりも愛情を感じる口付けだったこと。
サングラスの欠片と爽介の血にまみれながら、爽介の頭をかき抱いた。
途方に暮れたように爽介がネックレスの留め金をしきりと弄る。
「どうしよう‥部屋にお前を上げられない」
真夏の照りつける日差しが乱反射する。
いくつになっても夏は好きになれない。
強い色彩―何もかもが生命力に満ち、気持ちだけが取り残されてしまう。
葵とは顔を会わせていない。
その間、葵の絵を何度も描き直した。
向日葵はすっかり枯れ、部屋の片隅の花瓶に突っ込んだまま。
葵の誕生日を待たずに、私は爽介に返事を出した。
遠征から帰ってきたばかりの爽介は酷く不機嫌で、私を部屋に上げなかった。
濃い茶色の大きなサングラスを掛け、腕を組んでムスッと黙りこくっている。
エンジンを切った車内での沈黙は辛いものがあった。
爽介は私の顔をちらりとも見ないし、何から切り出せばいいのか戸惑い言葉を失う。
「‥言いてぇコトがあんならはっきり言えよ。時間の無駄だ」
爽介はやけに苛々して吸い殻の本数ばかりを増やす。
逞しい腕を掴み、爽介の頬に唇を寄せた。
「――はぁ?」
私の方を見た途端、爽介の態度がガラリと変わった。
「そっちか…」
私の首元のネックレスの存在に、やっと爽介が気が付いたのだった。
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「なんだよ‥ビビらせんなよ‥それならそうと早く言えよ…急に会いたいだなんて言うから俺は…」
息をつく間もない長いキスの後、モゴモゴと言葉を濁す爽介。
『帰ってくるまでに気持ちを固めとけ、明確な答えが欲しいって言ったのは爽介だよ』
私の言葉に爽介が耳を赤くする。
爽介の中で何か大きな衝撃が発生したらしい。
自分が贈った“首輪”と呼んでいるネックレスを私が身につけたことを知った瞬間、爽介はサングラスを握り潰した。
血が出ているので私はギョッとしたけれど、
「そんなのどうでもイイ。すべて後にしろ」
と、百戦錬磨の必殺技をいかんなく浴びたのだった。
今までと違ったのは、爽介の鼓動がいつになく速かったこと。
余裕のない、技術よりも愛情を感じる口付けだったこと。
サングラスの欠片と爽介の血にまみれながら、爽介の頭をかき抱いた。
途方に暮れたように爽介がネックレスの留め金をしきりと弄る。
「どうしよう‥部屋にお前を上げられない」