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第4章 【嘘の自白】
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目覚めると、足の裏にガーゼが巻かれていた。
葵が手当してくれたんだな‥。
布団を畳んで押し入れに直す。
机の上には葵の大味な置き手紙。

《虫除けを焚くから夕方まで帰ってこないで。追伸,ワンピースはクリーニングに出しておきます。あおい》

ワンピース‥おうちクリーニングで良かったのに。安物だったし。
それにもう、着ないかも知れない。
昨夜の記憶を早く忘れ去ってしまいたい。

野菜スープに火をかけ、ハーブに水やりを済ませてから洗面所に行く。
タオルからは葵が買ってきてくれた新商品の柔軟剤の香り。
桃とラズベリー。

『あれ‥?痕が増えてる…??』

爽介が残したキスマークの他に、見慣れない赤い痕。
虫除けを焚くって言ってるし、本当にダニでもいるのかな‥。
首を捻りながら簡単な身支度を終え、朝食。
私が男アソビをしている間に葵が拵えてくれた野菜スープは、優しい味がした。

携帯をチェックすると、マイコの鬼電で埋めつくされていた。
日中は家を空けないといけないし、ランチに誘う。
運良く休みが被っていた。
適当なトップスにくたびれたジーンズを合わせる。
どちらも黒っぽい。
忍びをフィーチャーしている。くの一再び‥。
やる気のない格好のまま、どうでもいいやといつものバッグを掴む。
バッグのポケットの中に、折り畳まれた紙くずを発見。
タカシの連絡先だった。いつの間に…。
しばらく考えて、ゴミ箱に放る。
葵の野菜スープが心にも身体にも染みていたから。

玄関先で、昨夜の片方だけの靴が手入れをされ、クリームが塗り込まれていた。
何となく、今後葵様には勝てないんじゃないかとしおらしく感じ入る無抵抗ピンク。

怪我した足を気遣ってか、履きやすいミュールが出されていた。
ぽそりと呟く。

『ありがとう‥お母さん…』

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