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第5章 【プリティー・ウーマン】
「どんと来い!!
私がキラキラパワーで中和してやる!
みちるがどんなにフラフラしても、私はみちるを離さない。
第一、アンタベビーフェイスだから老けないって」

『私、こどもっぽい?』

「トボけた顔が好きだよ」

『私も、マイコのエロくてエグくて昔から変わらない笑顔が好きだよ』

「キモッ。変態のくせに!!」

『中和してよ。キラキラパワーで‥』

「変態脳はどうにもならんがな。三つ子の魂百までじゃ。みちるの変態百までじゃ」

『百まで赤い下着は着ないでしょ。還暦には着るけど。
‥マイコ、ありがとね』

「ふ。プリティー・ウーマン。
次から自分で買いな。もしくは買ってもらいな」

『そうする。本当にありがとう。すごく楽しかった!
私も、マイコが生きてくれていて嬉しい。
マイコがいくつになってもずーっとずっと逢いたいよ…』

*****

マイコと食事を済ませ、軽くアルコールを呑んだ。
基本的には外出先のアルコールは控えているけど、禊の気持を込めて‥。

帰宅すると、“葵ちゃんホイホイ”に葵が引っかかっていた。
料理上手な葵に唯一私が勝てる得意料理。
ベタだけどカレー。
葵は、私が作ったカレーが大好物だ。

葵の顎には珍しくうっすらと髭が生えている。よっぽどお疲れと見える。

「‥論文の締め切りがあったから…」

いつものぽやぽやとした雰囲気なのに、私と目を合わさない。

「‥なんかあった?
みちるちゃん、いつもと違う…」

『友達にたまには綺麗にしろって言われたから』

葵と食卓を囲む。
いつもの部屋着に着替えたのに、葵はしきりにそわそわしている。
帰宅直後の葵の驚いた顔。
あんぐりと口を開け、見開かれた眼を思い出すとおかしさが込み上げる。

「‥男?…」

『お・ん・な・の・こ!アレ?女の子で良いのかな?
高校の時の女友達だよ。名前はマイコ』

「‥ふぅん…」

葵は納得しかねるとでも言うような曖昧な表情。

『男アソビはもうしないんだ。
我が家のにゃんこちゃんがいじけるから』

葵が小さく笑った。
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