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第5章 【プリティー・ウーマン】
水色のサマーセーターに白いフレアスカート。
内布付きの藤のカゴバッグ。ギンガムチェック柄の布がカワイイ。
靴だけは自分で購入した。
マイコのキラキラ具合に感化され、お花のビジューがついたデザインのパンプス。色は白。
‥下着までマイコにコーディネートされてしまった。
白のセットアップ。キラキラ。
身につけていた下着があんまりアレだったから。

「まさか真っ赤のブラとはね~下着だけエロいとかどんだけ変態なんだよ!
しかも紐パン。頭がおかしいよ」

服装がしみったれている分、下着だけはお金を惜しまないようにしている。

「‥まぁ、元々はみちる、そういうの好きだよね。帰ってきた頃はアンタ、綺麗にしてたじゃない。
今が本来のみちるの姿だよ」

隣県で生活していた頃は、しみったれなりに努力していた。
メイクも洋服も。
ほどほどに自分磨きを楽しんでいた―

「みちるの言う“しみったれた”アンタが嫌いなわけじゃない。
どんなみちるもみちるだから。
でも、今のみちるは何もかもを諦めようとしている気がする。
それが私には時々もどかしい。
本当のみちるは何も諦めてなんかいないんじゃないかって―
真っ赤な頭のおかしな下着を着るパッションがあるんだよ。みちるには。
生きる力がまだ残ってる。
もっと足掻いてよ。
もっと無様にもがいてよ‥」

『マイコ…』

「“過去”のことなんか忘れなよ!
《この男のためになら死ねる》ような相手じゃなくて、《この男といっしょに生きていきたい》と思えるような相手を見つけな。
‥ひとりで生きていけるひともいる。
でも、今のみちるには誰かが必要。
正しい恋愛なんかじゃなくていい。
足掻いて、もがいて、どうしようもない時は私がそばにいてあげる。
私がそうしたいから!
‥“過去”にばっか捕らわれずに、“今”を生きなよ。生きてよ。だってみちるが生きてくれていることが私はこんなにも嬉しい…」

マイコの抱擁。
マイコが吹き付けてくれた香水のお陰で、私たちからはおそろいの香りがする。

「‥死んだ方が良かったなんて、もう言わないで。
みちるが生きてくれていて、私は嬉しいよ。
もうすぐ29歳のみちるに逢えることが私はすごく嬉しい。30歳のみちるにも31歳のみちるにも、もっと年齢を重ねたみちるにだって私は逢いたい!」

『‥しわくちゃで更にしみったれているかもよ?』
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