この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ
「ヘイ、小百合。君は本当にサッカーの事を何も知らないのかい?」
「えぇ。ってかサッカー好きなら、貴方の事も知ってたはずよ。」
「ソレもそうだけどー・・。移籍金っていうのは・・
例えば僕を例に出すね。僕は今のチームに入る前、バーゼルナというアルゼンチンのチームに一年だけ居たんだ。でも、試合をたまたま見に来てた今のチームのスカウトマンに声を掛けられた訳。
そのまま引き抜いたら、バーゼルナが怒るだろう?
"こっちは三年契約で引き抜いたのに
なんで一年しか経ってない時に引き抜く!"って。
で、それを解決出来る唯一の方法が"移籍金"だよ。
アーセがバーゼルナにお金を払って解決する。
そして、そこで得たお金を使い、バーゼルナはまた違うチームから選手を引き抜いてくるー・・。
移籍金っていうのはチームに払うお金だね。
流れとしては、こういう感じだよ。」
「へぇ~凄く分かりやすい!」
思わず後ろを向いて、手を叩いてしまう。拍手出来るくらいの分かりやすい解説だった、本当に。
つまり、柳沢を
300億円近くの価値がある男だと思われたのだろう。
今所属しているチームの人間にー・・。
「そう思ったら、柳沢はすごいんだね。」
「あぁ。移籍金額ナンバーツーだよ。」
「ナンバーワンは?」
「僕さ」
何食わぬ顔でそう言われて度肝を抜かれそうになる。一体幾ら払ったんだろう・・?
「金額は聞かないでおくわ。今の距離が保てなくなりそう。」
「え?」
「ハンソン、貴方は確かにサッカー選手。
だけど、私の中での貴方はスターじゃなく、一人の生身の人間よ。金額を聞いたらー・・気を使ってしまいそうだもの。今の距離感を保つためにも私は貴方の"価値"を知らない様にする!」
「小百合・・。本当に君はクレイジーだ!」
ほっぺたをつねられながら笑われる。何が面白いのか知らないが目の端にうっすら涙も溜まっていた。
「だけどー・・こんな女性ははじめてだよ。
凄く楽しくて、新鮮だ。」