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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい


20分くらい経った時だろうか?車内に流れていた有名なラジオが止まり、声をかけられた。
「マダム、着きました。」
「ありがとう。」

ワンピースを直してから、少し多目にお金を出す。

「貴方のサービスは良かったわ。それはチップね」
「そうかい?ありがとう。」

沢山の人が、吸い込まれる様にして
ぞくぞくと入場しているドームに私も歩みを進める。


「ハイ、チケットを見せてください」

「えっと・・これでいいのかしら?」


「ーー・・わお!このドームははじめて?」
「えぇ。サッカー観戦すら初めてなの」

「そうなのね。じゃあ分らないでしょうし案内するわ」


綺麗なお姉さんに、そう告げられ私はスタッフの皆様に頭を下げられながら、後をついていく。エレベーターに乗って2階で降り、真ん中のドアの前に案内された。

ドア前に立っている二人のガードマンの方と女性は何やら話しをしている。

「ヘイ、大丈夫よ。入って」


「分ったわ」


私の視界は綺麗なブロンドヘアーの女性から、まるで飛行機のビジネスシートの様なモノが沢山有るボックス席に変わる。そして、即座に理解した。彼は著名人が座る様な特別な席を用意してくれたのだ、と。

このスタジアムは室内型だ。ちょうどクーラーの下に私達の席がある。
寒いときも暑いときも、これなら問題ないだろう。

他の席との間は開いているけど、見れないことはない。
いわば、コンサートで使われているボックス席と同じ様なつくりだ。

ただ椅子が上質で、そして各椅子に小さなテレビが設置されていることだけだろう、大きな違いというと。


「凄いわね、ありがとう」

「どういたしまして。貴方はアジアのテレビ関係者?」
「違うわ。ただの日本人よ」

「だれかと知り合いなのかしら?」
「まぁー・・そうなのかな?」

これ以上は詮索してほしくない、そんな気持ちが伝わったのか、彼女は“楽しんでね”と笑顔で此処を立ち去ってくれた。

私の席は一番前のド真ん中だ。

隣にはスポーツ選手だろうか?おそらく・・・違うチームのサッカースターだと思われる男性が2人、そして逆隣にはこの試合に出ている彼女か妻であろう綺麗な女性が1人いた。

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