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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい
時計でチラリと時刻を確認する。
前半は両者無得点に終わり、後半30分過ぎている。アディショナルタイムというのが加算されるとしても後20分もないだろう。
決定的なゴールシーンは何度もあったものの
やはり格の高いチーム同士・・両者譲らない展開となっている。
サッカーがこんなに白熱する試合だなんて思ってもいなかった。選手同士が誰がPKを蹴るのかで揉めたり・・カードの事で審判に文句を言ったり・・ちょっと子供っぽい所があるなぁと思いながらも、楽しんでいる自分がいた。
柳沢は三回シュートをはずしている。しかも枠内。
ハンソンは五回だ。調子が悪いのはー・・ハンソンかな?
隣のブリトニーも息を飲む音が聞こえそうな位真剣に試合を観ていた。
激しくゴール付近で、揉み合う選手達・・。
審判が笛を吹いて、柳沢にイエローを見せた時、ブーイングと共に同じ位の歓声が沸き上がった。
勿論、蹴るのはハンソンだ。
イエローを貰ったため、選手の壁はなし。ゴールキーパーとの一対一の勝負。
時間的に考えて、ここで点をとれれば
あとは逃げ切るだけ、だ。
静まり返ったスタジアムー・・。
両サポーターが祈る様な思いをハンソンに託している。
そんなのが見に染みてわかった。
だけど、彼はまだ若い。
彼には重すぎる負担かもしれない。