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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい
そんな事を考えながら、ドームを出ようとした時だった。ふと、携帯が鳴り響く。
「もしもし。」
「小百合!どこに居る?」
「ハンソン!ー・・今は・・ドームを出ようとしてた所だわ」
「ちょっと待ってくれ。一緒に帰ろう。」
「今日は一人で寝たいの。」
「構わないよ。直接喋りたいだけだ。」
「・・。」
「ただ、今選手は此処から出れない。ファンの目があるからね。そのまま一度出て、裏入り口から入ってきてくれないか?警備員にはチケットを見せてくれ、入れるから」
と半強制的にそうするしかない状況になった。
疲れてるから早く帰って寝たいのにー・・
そんな思いはむなしく散り、私はハンソンの指示通りに動く。
蓮ーー・・
あの子は、私が思ってた以上に
私の事を深く愛してくれてたのだろうか?
だからこそ、気持ちのやり場がない思いになって
あんな事をしてきたのかもしれない。
そう思える余裕は有る。
だけどー・・やっぱり彼に腹立ってくるし
正直、時間が戻ってほしいとさえも思える。
あっちに帰ったらアフターピル飲まなきゃ・・。
そう思いながら、警備員さんにチケットを見せた。
「どこまで?」
「わからないの。ハンソンが居る所まで。」
「あー選手控え室だね、あそこなら妻や彼女は入れるし・・案内するよ。」
「ありがとう。」
ガタイの良い警備員さんの後ろを歩く。
裏入り口から入ったら、まるで別世界だ。
廊下はとても綺麗にされていて、
テレビカメラやリポーターなどが沢山居る此処ー・・。
私がそんな道を歩くなんて変な気分。
表の世界のー・・もう戻れないところまで来てしまったのかな?
"ここだよ"と合図され、ドアをゆっくりと押すー・・
ハンソンと不意に目があった瞬間
彼は子供の様に私の元へ走ってきて、強く強く抱き締めてきた。