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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい
「小百合・・!本当にありがとう!君のあの言葉があったから、僕はプレッシャーに屈する事なく点を決めれたんだよ」
「こちらこそ、素敵な試合をありがとう。楽しかったわ。」
と彼に礼を言い終わったあと、強く頭をはたかれる。
「いっ・・たぁい。」
「おまえ途中から居なかっただろうが」
と日本語で私にちょっかいをかけてくるのは・・光だ。
もう本当にこの子は何をしたいんだろう?
正直、嫌になってくる。
「もう何?!」
「別に。ってかそのジャケットー・・。」
「ボックス席で遥くんに貰ったの」
ハンソンにちょっと待ってね、と伝えてからもう一度柳沢に向きなおす。汗を流すためにシャワーを浴びたのかー・・髪を強引にタオルで拭いている姿は、彼の絶妙な筋肉と妙にマッチして、心が踊る気分になったのは秘密。
「それ、俺があいつの誕生日にあげたやつなのに。何で勝手に着るんだよ」
「ちょ・・っと!柳沢!やめてよ!」
強く服を引っ張られて、脱がされようとするのを何とか必死に阻止する。
「おい、光。何してるんだよ!」
「ハンソン、これは俺の友達の服。こいつが勝手に着てるのが許せない」
"第三者は入ってくるな"とキツい顔向きで、ハンソンにそう伝えたそうな柳沢ー・・。
「あんた・・本当に何考えてんのよ」
男らしい力の強さが、蓮を思い出させたその瞬間、
ジャケットは私の身体から離れ、柳沢の手に移った。
そして、それと同時にみんなの前に露になるのはー・・
シワが沢山できて、少し破れているワンピース。
「ーー・・小百合・・?」
ガヤガヤ言っていた他のメンバー達も、一瞬静かになって力なく床にへたれこむ私の服装を見て驚いたかの様な顔になった。
「っ・・なにもない。」
なんで私がこの人達の前で恥を晒さなきゃいけないの?
私が求めてこの世界に足を踏み入れた訳じゃないー・・
逆に求められて・・
断れない性格なだけだ、だから今此処にいる。
「頼まれて、ここに来た。
それだけなのにー・・なんでここまで酷い目に合わないといけないのよ」
泣きそうになっている目で、しっかりとハンソンと柳沢を捉える。
「落ち着いて、小百合。」