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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい


悠々と一本を完璧に空けて、二本目に差し掛かったとき。

多目さんに、こんなことを言われた。



「お前ってさ」
「ん~?」

「熱しやすく冷めやすいんだろうな」
「えぇ?なにそれ?」

「思った。仕事に関しては、感謝してもしきれない位ずっと頑張ってきてくれたけど、きっと恋愛面に関しては“そのタイプ”なのかなって思うよ。」
「まぁ当たってるかもしれへんね。だけど、運命の人が現れたら何か変わるよ」

「運命の人?そんなん信じてんのか?」
「言ってみただけ。でも“合う人”っていうのは居ると思う」

「それは居るだろうなぁ」
「私はまだ出会えてないけどね」

自虐ネタをはさんで、女の子からいろいろとフォローされるけど心に響かない。
私が、男の人との本気の恋が出来ないのは、顔が問題ではない。

スタイルも悪くないし、顔も悪くない。
化粧は薄いけど、もともと派手な顔立ちだから、嫌われることは無かった。

でもー・・・性格が問題なんだろう。

自分で自分のことを“さっきみたいに”分析してる時点で
誇り高い女に分類される。扱いにくいと思われるのも無理はない。


「年上がいいんじゃない?」

「そうかなぁ?」


「あぁ、中途半端な年上じゃなくて結構な年上な。
小百合にあわせてくれる人」


「えー、居る?」

「そりゃ居るよ。普通にしてれば簡単に“運命の人”なんて見つかるよ」


と大きな声で言われて、急いで多目さんの口をふさぐ。
嫉妬深い蓮のことだ、耳を澄まして私達の会話を聞いているかもしれない。

彼が、

「俺が運命の人だよ!」なんて名乗り出てきたらどうしたらいいんだろうー・・・?

最悪の事態を想定して、頭をブンブンと横にふり、
ワインを一気に飲み干した。
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