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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい
ハンソンにもー・・確かに言われてる。
初戦に誘われた時にも念押しされたような・・。
「もし、あんたが来ないんだったら
俺わざと今此処で週刊紙に連絡するよ。」
「何を?」
「写真撮ってくれって。じゃあ、あいつらの事だからあんたの事も調べあげるだろうしな。何なら、俺が芸能関係者って偽ってあんたの事を色々と喋ってもいい」
「貴方が私の何を知ってるって言うのよ。」
「仕事も何も知らない。だけど、外見の特徴やハンソンとの事ー・・。向こうの記者もボックス席の写真は撮ってるもんだぜ?俺の彼女と言いながら、ハンソンにも手を出した、自営業で冷酷な女・・。最高の記事になりそう」
「ーーっ!」
わたしが表舞台の人間と関わりたくないのは分かってるはずだ、多かれ少なかれ。
それなのにー・・コイツ!
「どうすんの?もし、来るならチケットの手配とか飛行機の手配あるんだけど」
「いつ」
「10日後。土曜日。」
「行かなかったら?」
「お前は、俺と蓮とハンソンのファンからの反感を買うだろうな。」
いつにまして綺麗で・・どこか可愛い顔で笑う彼。
人に意地悪する時が一番かっこいいなんて、なんとも皮肉な男なんだろう。
「分かったわよ!行って、あんたの条件呑めばいいんでしょ?」
「そー。簡単な話。」
「別に構わないわ。その代わり、私は無駄な事には一銭も自分のお金を使いたくない主義なの。飛行機代もホテル代も全部あなたが持って。」
「ふっ。いいよ。」
「特上じゃないといや。飛行機はプレミアシート。
ホテルはスイート。お小遣いもくれなきゃ私、餓死してしまうから。」
「何だよ、いきなり銭ゲバみたいに」
「じゃないと行かない。」
「金の事は俺に任せろ。その代わり、お前は俺の応援しろよ。」
「はぁ?それは話に入って「今思ったんだよ。」
"何か文句ある?"
引き締まった腕なのに、細くて長い指ー・・
丁寧にタバコを消して、そんな事をいう彼は本当に絵になっている。私の生活感の無い部屋のお蔭も少しはあるのだろうか?
引退したら・・間違いなく俳優業だろう。
「わかった。全部呑む。だから、帰って。」
「背中押すなって」
「じゃあ早く歩きなさいよ!」
彼の背中を両手で押して歩く。ドスドスという音が廊下に響き渡っていた。