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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第5章 情熱とは熱しやすく冷めやすい
化粧も落とさず、部屋着にも着替えないまま
はぁーとため息をついて、天井を拝む。
お日様の匂いが恋しくなった。ふかふかの布団を背に、明日、全部綺麗にしよう!という決意を決める。
ハンソンにも決勝戦の誘いは熱烈に受けていた。
だから、予定が合ったらいこうと思ってたけどー・・
よりによってアイツの願いを聞く形に、
しかも俺の応援をしろ、なんて無茶なお願い。
だけど、あの300億近くの価値がある柳沢光だー・・。
断ったり・約束とは違う行動をしたら、本当に私が一番望んでいない方向に落ちるだろう。そうなったらもう終わり。それほどまでにして、私はグレーに留まりたい。
ブラックもいやだ。
だけどー・・ホワイトにも染まりたくなかった。
いや、染まれなかった。
リビングに置いてある携帯から流れてるスカイプの着信音が、ふと耳に入る。
この時間だと、ハンソンだろう。
ベッドから重い腰を上げてリビングに急ぐ。
「もしもし。」
「おはよう。」
寝起き特有のしゃがれた声。
彼のこんな声を聞くのももう慣れた。
「おはよう。よく眠れた?」
「あぁ、久しぶりに家で寝たんだ。
やっぱりホテルも良いけど家が一番だね。」
「そうね。落ち着くわ。」
「あぁ。」
「今日の予定は?」
「朝からトレーニングだよ。僕達のチームは本当に優勝しか目にないからさ。」
「アーセでしょ?監督変わったって書いてた。」
「ニュースで見たのかい?」
「えぇ。ハンソンと連絡最近よく取ってるし。
少しづつだけど、サッカーに興味沸いてきたかも。」
「おぉ!それはすごく嬉しいよ。」
「まだ、オフサイドとかそういう専門的なルールは分からないけどね。交代枠の数もリーグや試合によっては異なるんでしょ?」
「そうだね。位置も沢山あるし難しいよ。
だけど、小百合なら大丈夫さ。
だって、僕が居るんだからね?」
「あはは。それはそうね。
あなたと仲良くしててルールが分からない、なんて事は無いわね。」
「そうだよ。で、君はどう?そっちは夜だろう?」
「えぇ。んー、ちょっとツイてなかったかな。
それより、決勝戦見に行く事になったの。」
「え?!本当かい?!」