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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気
ーーー「ーー・・でさぁ!アイツったら真由美ちゃんの方に結局転んだわけ。どう思う!?」
たった2時間で10杯以上のカクテルを飲んでいる由香は絶好調だ。さっきから2ヶ月前に別れたらしい彼氏の愚痴ばかり言っている。普段は強がってて冷静ぶっても、お酒をのんだときの人格は変えられない。あながち由香はこれが本性なのだろう。
「まぁ由香にはご縁があらへんかったってだけの話やろう?」
「そうだけど。アイツは本当に糞だよ。誰ともご縁が無いに決まってる!」
段々とヒートアップしてきそうになるのを止めるべく、何か歌う様にデンモクを渡すが更々、歌う気は無いみたいだ。別に愚痴を聞くのは構わないが、お酒の呑みすぎと喋りすぎで脳がプチーンとなるのだけは避けたい。
「響子さん、そろそろ止めてあげて」
「由香ちゃんはこうなったらあと二時間は行くわね」
どうするべきか、と苦笑いをした時、再び店内のドアが開き、次は小さな悲鳴の様なモノが聞こえてきた。おもわず、由香も話すのを止めて、ドアの方を見ている。
何くわぬ顔で入ってきたのは、さすがの私でも知っている勇名なアイドルグループに所属している男性2人だ。2人とも、今風の顔立ちで知性をかもし出している。
「さすがに、さぁも知ってるでしょ?」
「知らないって言うたら非国民や!言われそうやしねぇ」
「どう?」
「かっこいい人達やねぇ」
“はぁ~”とわざとらしい大きなため息をついた由香の真意は分かるが、本当にそれ以上でも以下でもない。
「なんなの?同性にしか興味ないの?」
「アホ言わんといて。私はいたってノーマルです」
「じゃあ、なんで、こう・・・もっと・・“きゃあ!”とかならないわけ?私みたいに美容関係の仕事で芸能人と触れ合う機会がある、とかなら分かるけどさ」
「芸能人も貴族も裏返せば、普通の人達やろう。表だけ見て目をハートにする程ピュアな人間じゃなくなってもうたわ」
「さぁらしい答え。満点」
と何が嬉しいのか全く分からないが、満面の笑みをこちらに向けてくる。由香は本当に何度も言うが変わってる。--・・だけど飽きない。