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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
ヒールがロビーの大理石に響いているのが、耳に入ってくる。
うわさによると、この女性特有の音がすきな人はマゾが多いらしい。

逆に嫌いな人はー・・亭主関白な考え方の人が多いと聞いた。本当なんだろうか?


エレベーターに乗りこんで、お姉さんが
最上階のボタンを押しているのを見て、ふと思った。

柳沢は、本当に“特上”を用意してくれたのだとー・・・。


34階までは速そうだ。



「このエレベーターの前の部屋よ」

「そう、ありがとう」


彼女からルームキーを貰い、中に入る。


私は・・・とてつもなく驚いた。今まで、それなりの部屋に泊まってきたこともあったが、ここは別格だ。

私の何十倍も大きい窓には真っ赤な色をしたカーテン。

絨毯は、ペルシャ絨毯ー・・・。

机は、白色で、足が細くとても優雅なつくり。


まるで中世の貴族たちの生活にタイムスリップしてきたかの様な気分に陥った。


寝室には落ち着いたシャンデリアとキングサイズのベッド。
布団は、日本でも有名な某ブランドの品だった。

バスルームの床は、大理石。滑らないの?っていうか・・痛まないのだろうか?


と考える私は、やはり根っからのお嬢様ではない。
所詮は成り上がりのー・・女なんだろう。



「にしても、こんなに洒落てるのに、部屋はルームカードじゃなく、キーなのね」

と疑問が浮かぶ。

変なところがアナログだ。まぁ、これはこれで雰囲気が出ているけれどー・・・。


財布から、クレジットカードを出してクラッチバックにうつす。
他は、金庫行きだ。

部屋の中とはいえ、此処は異国。
開放的になっている私には、少しばかりの危機感も必要なのだろう。


スーツケースを広げて、ドレスとまではいかない、カジュアルワンピースに着替える。

メインは真っ黒だけど、白色のラインが腰に一本入っており、
付属しているネックレスはシンプルだけど、どこか目に入るものだ。

ヒールも真っ黒、ドレスも真っ黒ー・・・。



「さすがにー・・お葬式みたいね」

もう少し派手でもいいのかもしれない、と思って
丈が短めの白色のジャケットを羽織った。

いい感じでマッチしている。これは当たりのコーディネート!

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