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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
“T&C”というロゴが入っているカップに紅茶をいれた。
アールグレイらしい。これならストレートでも飲める。
白色のソファーは、とてもふかふかしていて座り心地は最高。
何なら家のソファーをこれに買い換えたい、そう思った。
深い青の灰皿を汚すのは少しためらったが
こちらに着いてから、一本も煙草を吸っていないし、触れていない。
さすがに限界だった・・・。
これがニコチン依存症?
「簡単にやめれるし」とシラを切っていた高校生の私に今の姿を見せてあげたかった。本当はやめたい気持ちもある。老化のスピードが驚くほど違うし・・・・。
だけど、そんな決意で煙草をやめれるなら
そもそも禁煙外来なんかが存在しないだろう。
妊娠するしかー・・私には方法は無いと思う。
香り高いソレに火をつけて、はじめの1吸いー・・。
これがたまらないんだ。
ほのかに甘く、そしてー・・いかにも!っていう香り。
ちょっと良い感じのムードにひたっていたとき、電話が鳴った。
「もしもし?」
「もう着くわよ!あと五分程度かしら?」
「そうなの?」
「えぇ。ロイヤルホストでしょう?」
「そうそう」
「合ってるわね。じゃあ待ってて。」
「分ったわ」
電話の主は、ブロトニー。ミュラーが早口で騒いでいる声が聞こえた。
外国人の五分は、十分ほどだろう。
でもー・・・やっぱりはじめてのディナーだし待たせるのは気が引ける。
ここは、日本人らしく時間を守るべきかなぁ?
バックの中を確認して、煙草を消した。
灰皿の中に散らばる灰を、一箇所に集める。
A型の性だったりして・・・。
そして日本から持ってきた香水を首にプッシュする。
とある化粧品会社から出ているもので、本当にお気に入りの1つ。
柳沢と会うときは、勿体ないからつけてあげない!
と子どもみたいに、そんな決意をしてから
部屋を出て、エレベーターに乗り込んだ。
オートロックだから鍵の心配はないだろう。