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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
此方についたときより、一段と冷たくなっている冬の風に顔をしかめてブリトニーを探す。
高級ホテルだけあって、有名な車種が多い。
ベンツ、アウディ、ジャガー、レクサスー・・・。
そんな車が顔をそろえる中で、私はふと、ポルシェのカイエンを見つけた。最新型で真っ黒だからファミリー車のはずなのに何処かイカツい。
そして、そのカイエンに乗っている人も私のことを見つけたのだろう。
三回クラクションを鳴らした。
私はそれがブリトニーだと気がつき、急いで後ろのドアをあける。
「もう着いてたの?」
「えぇ。道がすいてたみたい!」
「そっか、ごめんね。」
「いいわよ。さっ行きましょう」
シートベルトをした私を確認して、ブリトニーはアクセルを踏んだ。
綺麗な髪をなびかせて、サングラスをつけている彼女は、まるで映画の中に出てきそうだった。再開に喜んでいるミュラーも、もしかしたらハリウッドデビューできるかもしれない。
「今日は、パーティーよ」
「そんな気がしてた。」
「ハンソンとマセラもくるみたいだし、アーセの主要メンバー大集合って所ね」
「確かにー・・・。」
「まーた、お色気モデルたちが来る気もするわ・・・」
「心配なの?マークスのこと。」
「彼は私にしか興味が無いけど、あぁいう女の人を見たらなんだか惨めなのよ。
スターを捕まえるのに必死というかー・・・」
思想に国境は関係ないんだなぁと思った。
私もそう思っていたし、日本にも外国にもそんな女は居るー・・・。
留学先で一緒だった、どこかの国の貴族さんも
女の子が常に周りにいて、意味もなく褒められて、色気使われてー・・
ある意味、かわいそうだったようなー・・・。
ハンソンも、その域なんだろう。
冷静を装っているけど、実際結構、胸が痛む。
ズキズキと嫉妬をする様な感じ。
これは、誰に対して?勿論、ハンソンに対して。
「あー、これが恋か」
「え?何か言った?」
「ううん!何もないわ」
ブリトニーには隠したけど、今やっと気付けた。
私が試合の後、彼の気持ちを修復させたいと思ったのも、今、こうやってよからぬことを考えて、胸を痛めているのも、全部、母性本能なんかじゃない。愛だ。